感想
読み始めてすぐ「もしかしたら自分はアナロジー思考が得意かもしれない」と思った。なぜならわりと「難しいものを何か別の全く関係ないもので例えてわかりやすくする」ということをよくやっているからである。例えば過去にWordPressのイベントで登壇したときはMovableTypeをごはん、WordPressをパンに例えたプレゼンをした。他にも、所属チームの役割についてはお弁当、ブログ構築についてはケーキ、などプレゼンの度に何か例えを使っている。Gitのコマンドを郵便局に例えばものは多くの人からわかりやすいと支持された。主にTech×食べものなのだけど…。
このような全く関係のないところから発想を借りてくる、ということがアナロジー思考と呼ばれるものだったということを改めて学んだ。しかし「自分の理解」「他人への説明」という部分ではできているが「新しい発想」に関してはそうとは言えない。アナロジー思考力を鍛える、という章に書かれていた「複数の世界を並存して考える」という部分が苦手であり、リアリティのないドラマに文句を言ったりする。意識してあらゆるものに対し別の世界を「一緒にしてしまう」ではなく「繋げる」という思考力を鍛えたい。
以下、自分用要約まとめ。
アナロジー思考とは何か、なぜ重要なのか
まとめ
- 日本語で「類推」のこと。二つの世界の比例関係を利用した思考法
- アナロジーには、自分の理解、他人への説明、新しい発想、という3つの目的がある
- アナロジーとは全く関係ない世界から「借りてくる」発想のことである
- 一見まったく異なる世界の間でのアイディアの貸し借りができる
アナロジーのメカニズムを解明する
まとめ
- アナロジーとは、アイディアを異なる世界から「借りてくる」ための手法であり借り先としてはさまざまな世界が考えられる
- 借りる先の世界(ベース領域)は借りてくる世界(ターゲット領域)から遠ければ遠い程斬新な発想が得られる
- アナロジーとは、「穴埋め問題」のようなものであり、ひとつの世界で既知のことを利用して他の世界での未知のものに対応して知見を得ることが出来る
アナロジーの基本は「構造的類似点」を探すこと
まとめ
- 「類似」には大きく「表面的類似」と「構造的類似」があり、アナロジーに重要なのは「構造的類似」を見つけることである
- 「構造的」類似とは、複数の事象の「関係性」に関する類似のことえあり、表面的類似に比べて見つけるのが難しい分、その価値も大きい
- 構造的類似を見抜く為に、関係/構造の基本パターンを頭に入れておく必要がある
- 表面的類似と構造的類似の違いを意識すると、身の回りのさまざまな事象の関係性が違った形で整理できる
アナロジーに必要な抽象化思考力
まとめ
- アナロジーに必要な構造的類似を見つける為には「抽象化思考力」が必須の能力であり、一般化やモデル化によって共通点を見つけることが重要である
- 抽象化レベルが高いほど「遠くの世界から」アイディアを借りてくることが可能になる
- 抽象化思考力が高い人には、図解してシンプルに考える、極論して二項対立で考える、たとえ話がうまい、「美しさ」にこだわる等の思考の特徴がある
- 抽象と具象はどちらか一方だけではうまく機能せず、両方の特徴を理解しながらそれらを「行ったり来たり」してし追うを膨らませることが重要である
科学やビジネスに応用されるアナロジー
まとめ
- アナロジーが歴史上最も課長されて来たのは科学の分野であり、さまざまな分野において「まったくの違分野」からのアイディアがブレークスルーを起こして来た
- ビジネスの世界でアナロジー思考を活用するためには「一見違うが実は構造的に似ている業界」を探すことが必要であり、そのために必要となるのが「事業特性」である
- 「歴史から学ぶ」というのもアナロジー思考が生かされる場面のひとつで、その為に必要なことは歴史を単なる個別事象の集合でとらえるのではなく「構造の変化」をとらえることである
- 「個人の世界」の進展に当たっても、経営学等で培われた「企業のノウハウ」を活用することからの学びが大きい
アナロジー思考力を鍛える為に
まとめ
- 発想豊かな人は単に知識経験を持っているだけでなく、それらを関係する分野に「つなげる力」を持っており、これが他ならぬアナロジー思考である
- アナロジー思考を骨までしゃぶるためには、すべての事象を自らの世界と関連づけて考える姿勢が重要であり、そのためには常にアンテナを張っておくことが必要である。ただし、パズルをパズルで終わらせずに実生活と「つなげる」ことが重要である
- アナロジー思考は論理的演繹ではないため、短絡的な詭弁に用いられないよう注意が必要であり、そのためには類似点と相違点の見極めが重要である